相続人が認知症や未成年のときの遺産分割協議

 相続手続きを行うには、相続人全員が遺産分割内容に同意していることが前提となります。したがって、相続人の中に自らの意思表示が十分にできない人がいる場合には、遺産分割協議に参加してもらう適切な代理人が必要となります。
 そこで、どのような場合に必要となるのか主なケースをまとめてみました。

➀相続人の中に未成年者がいる場合
  未成年者は原則的には親権者(親)が代理人となって遺産分割協議に参加します。
  しかし、その親権者も相続人となっている場合(例えば父に相続が発生した場合に母と子である自分の2名が
 相続人の場合)には親権者と未成年との間で利益が相反することになります。その場合、家庭裁判所に申し立てを
 して選任された特別代理人が代わって遺産分割協議に参加します。

➁相続人の中に認知症の方がいる場合
  認知症に限らず、知的障害や精神障害などによって法的な判断ができない相続人は遺産分割協議には参加でき
 ません。その場合、家庭裁判所に申し立てをして選任された成年後見人が代わって遺産分割協議に参加します。
  なお、成年後見人は本人に代わって法的行為や財産管理・身上監護を行いますが、以下のような行為は職務には
 含まれません。
 ●本人の介護
 ●本人が老人施設を利用することになった際などの保証人になること
 ●本人に対する医療行為への同意の引受け

➂相続人の中に行方不明者がいる場合
  被相続人の親族などで利害関係のない人を候補者として不在者財産管理人を選任します。その人が家庭裁判所の
 許可を得て行方不明者の代わりに遺産分割協議に参加します。もし、適当な候補者がいない時は、家庭裁判所が
 弁護士や司法書士などを不在者財産管理人として選任します。
  なお、行方不明になってからの期間が7年以上の場合には、家庭裁判所に失踪宣告を申し立てることにより、
 行方不明の相続人を死亡したものとみなして遺産分割協議を進めることもできます。

 このように代理人を立てることによって、どのような立場の相続人にも 平等な手続きが進められるように努めましょう。

執筆者:荒川敦子

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