不定期更新のブログですが、今年もよろしくお願いします。
さて、2025年の今年は団塊の世代(1947年~1949年生まれ)と呼ばれる方々が75歳以上となります。
このような中で「家」の相続を気にする方は多いのではないでしょうか。
ご両親が亡くなった際、みなさんは実家をどうするか考えていますか。
実家に住むという方もいるかもしれませんし、売却するという方もいるかもしれません。
まだまだ先のことだからと言って、何もしないでいると後々トラブルになることもあります。
そこで今回は「実家じまい」について記載します。
「実家じまい」とは?
実家じまいとは、家主の子や孫などが家を整理し処分することを言います。
これに対して家じまいとは、家主が生前に家を整理し処分することを言います。
相続発生後の実家じまいは、家主不在で行うためなかなかスムーズに行えず、相続人間で揉めてしまうケースもあります。
また、相続人1人で実家じまいをすることになってしまい、大変な思いをされている方もいらっしゃいます。
思い入れのある実家の整理について考えるとなると、気が進まないかもしれませんが、元気なうちに家じまいを済ませておくのか、それとも子や孫などに実家じまいを託すのか、家族で事前に話し合いをしていただくことをお勧めします。
家を引き継ぐ場合、生前贈与と相続どちらが良い?
それでは家族が実家を引き継ぐことになった場合、生前贈与と相続どちらが良いのでしょうか。
この問題についてはよくお問合せがあるのですが…
残念ながら結論はケースバイケースです。
生前贈与の場合は、好きな時に引き継ぎたい方へ確実に引き継ぐことができますし、(遺言で引き継ぐこともできますが、遺産分割協議で遺言内容と異なる分割に変更することができてしまいます。)親が認知症になってしまい家の売却が難しいといった問題も予防することができます。
さらに、将来的に相続税の心配がないような場合には、「相続時精算課税制度」を利用して生前贈与をすることで、贈与税も相続税も発生しないこともあります。
このように記載すると、生前贈与の方が一見良さそうに見えますが、手続上のコストに関しては、生前贈与では不動産取得税と登録免許(2%)が発生するのに対し、相続では登録免許税(0.4%)のみとなり、相続の方が有利になります。
また、生前贈与も7年前までの贈与は相続財産に持ち戻すことになるうえ、贈与した土地に関しては小規模宅地等の特例という相続税を安くできる特例も使用できません。
このように家を引き継ぐ際には、様々な要因により生前贈与と相続のどちらが有利になるのか変わってきますので、税理士に相談することをお勧めします。
相続した家を売却したら確定申告を忘れずに
相続した家を売却した際に発生する所得を譲渡所得と言います。
譲渡所得が発生した場合、売却した翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告をする必要がありますので忘れずに行いましょう。
売却代金(譲渡価格)-(取得費+売却費用(譲渡費用))=譲渡所得
※取得費が不明の場合は売却代金の5%を取得費とします。
売却した家が空き家または相続税を納付していれば税金を安くできる?
上記の確定申告をする際に、売却した家が空き家の場合は、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」を適用できることがあります。
また、売却した家を相続した際に相続税を納付している場合は、「取得費加算の特例」を適用できることがあります。
どちらの特例も税金を安くすることができますので、覚えておくといいでしょう。
なお、2つの特例を同時に使用することはできませんのでご注意ください。
それぞれの特例については、こちらの記事もご確認ください。
空き家譲渡の特例
相続で取得した土地を譲渡した場合の取得費加算の特例
(当センターを運営していますFUJITA税理士法人のブログです。)
空き家を放置すると…
一般的に固定資産税は土地だけで所有しているよりも、土地に住宅が建っているほうが「住宅用地の特例」により安くなります。
このことから、空き家を放置していた方が良さそうな気もしますが、近年、倒壊や衛生問題などが発生している空き家が多いことから、適切に管理されていない空き家を地方自治体が「特定空き家」と認定し、この住宅用地の特例を解除することがあります。
特例が解除されると、固定資産税が6倍近くになりますので、実家の管理が難しい場合は放置をせずに実家じまいをすぐに行いましょう。
なお、令和6年4月より相続登記も義務化となっていますので、相続登記も忘れずに行ってください。
相続登記の義務化については、こちらの記事もご確認ください。
相続登記の申請義務化が始まります
今回は相続に限定して記載しましたが、実家じまいを行うタイミングは相続だけではなく、ご両親が施設に入られたときも考えられます。
実家じまいは手間も費用もかかりますので、長年住み続けた実家の最後をどうするのか、ご家族で一度検討してみてはいかがでしょうか。