相続土地国庫帰属制度とは?

今回は相続土地国庫帰属制度について記載します。(記載されている情報は令和5年6月現在のものです)。

1.相続土地国庫帰属制度とは?

相続や遺贈によって取得した土地を手放し、国に引き渡す(国庫に帰属させる)制度で、令和5年4月27日より施行されました。
これまで不要な土地があったとしても、その土地を含めて相続しなければいけないケースが多くありました。
相続放棄をすれば良いのでは?と思われるかもしれませんが、相続放棄をする場合、不要な土地だけではなく、預貯金等の全ての財産を放棄する必要があり、現実的ではありません。
しかし、この相続土地国庫帰属制度により、不要な土地のみを手放すことが可能となりました。
なお、この制度は、施行前に相続した土地も対象となります。

2.相続土地国庫帰属制度創設の背景

現在、地方を中心に土地を相続したものの、利用する機会がなく、売買したくても出来ない方が増えています。
そのような状況で、土地の管理が疎かになっていき、加えて複数回の相続を通して、所有者がわからなくなる問題が起きています。
このような問題を改善するため、相続土地国庫帰属制度は創設されました。
同じく所有者不明土地の発生予防策として、今後、相続登記の申請義務化も予定されています。
相続登記の申請義務化については、別の記事にも記載していますのでご確認ください。

3.申請要件

相続土地国庫帰属制度で申請が出来る方は、相続や遺贈で土地を取得した方で、共有で土地を取得した場合は、共有者全員で申請をする必要があります。
また、全ての土地を国に引き渡すことは出来ず、①土地に建物や工作物がある②土壌汚染がある③担保権が設定されている等の国が定める一定要件に当てはまらない土地のみ、引き渡すことが出来ます。

4.申請の流れ

(1)法務局へ相談

土地の所在する法務局の本局にて、引き渡し予定の土地が実際に引き渡し可能か否かを相談します(要予約)。
その際には、法務省のホームページにある①相続土地国庫帰属相談票、②相続したい土地の状況について(チェックシート)、③土地の状況等がわかる資料(登記事項証明書、地図、測量図、写真等)を持参します。

(2)申請書等の作成・提出

申請書等を作成し、その他必要書類と併せて、土地の所在する法務局の本局にて提出します。
なお、申請は郵送でも可能です。
この時、14,000円の審査手数料を収入印紙で支払います。
申請書等は提出する前に、事前に法務局で確認していただくのが良いでしょう。

(3)法務局による書面・実地調査

法務局の担当官により審査が行われます。
申請要件や承認要件を満たしていなければ、この時点で却下となります。

(4)承認・負担金の納付

承認通知とともに負担金の納付通知が届きますので、30日以内に納付します。
この負担金は、1筆ごとに20万円が基本となっておりますが、引き渡す土地によって負担金も変わりますので、事前に法務局で確認が必要です。
なお、期限内に納付が出来なかった場合は、申請を最初からやり直さなければなりません。

最後に

これまで、不要な土地を相続したものの、名義変更をせずにそのままにしている方もいらっしゃると思います。
令和6年には相続登記の申請義務化も開始されますので、この機会に相続土地国庫帰属制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

札幌相続センターでは相続手続きの代行をしております。
相続手続きはご自身で行うことも出来ますが、お困りの際はお気軽にお問合わせください。

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