戸籍収集の仕方について
今回は戸籍収集の仕方について記載します。
１．なぜ戸籍収集が必要か？
一般的に預貯金の払戻や不動産の名義変更等の相続手続きを行う際には、戸籍の提出が求められます。
これは、死亡の事実と亡くなられた方の相続人を確認するためです。
ここでの戸籍とは、亡くなれた方の出生から死亡までの連続した戸籍、相続人の現在戸籍等になります。
亡くなられた方の最新の戸籍だけではなく、出生から死亡までの連続した戸籍が必要となるという点がポイントです。
戸籍は転籍、改製、婚姻、養子縁組、家督相続、分家等によって新しく編成されますが、この時離婚、離縁、認知等の一部の情報が省略されてしまいます。
そのため、亡くなられた方の全ての戸籍を一つずつ確認する必要があるのです。
２．戸籍の種類
戸籍には以下の３種類があります。
①戸籍（現在使われているもの）
②除籍（戸籍内の全員が死亡または転籍等によりいなくなったもの）
③原戸籍（電子化や法改正により改製された前のもの）
また、それぞれ謄本（戸籍の全部の写し）と抄本（戸籍の一部の写し）があり、相続手続きで使用するのは謄本となります。
なお、コンピュータ改製後は、謄本を全部事項証明書、抄本を個人事項証明書と呼ぶようになりました。
３．戸籍の遡り方法
（１）死亡の記載のある戸籍を取得
まずは、亡くなられた方の本籍地の役所で、死亡の記載がある戸籍謄本を取得します。
取得後は、戸籍事項欄でこの戸籍がいつからいつまでのものか、また亡くなられた方がこの戸籍内にいつからいつまで存在していたかを確認してください。
例えば、戸籍事項欄に転籍日が平成１５年１月１日とあり、死亡日が令和５年１月１日とあった場合、この戸籍は平成１５年１月１日から現在までのものであり、亡くなられた方は、平成１５年１月１日から令和５年１月１日までこの戸籍内に存在していたことが証明出来ます。
（２）出生まで戸籍を遡る
次は、上記（１）で取得した戸籍の一つ前の戸籍を取得します。
戸籍事項欄に戸籍の編成理由と日付が記載されていますので、次の請求先を確認します。
転籍となっている場合は転籍前の本籍地に戸籍を請求し、改製の場合は同じ本籍地に原戸籍を請求します。
これを取得した戸籍の始まりが亡くなられた方の出生日より前になるまで繰り返します。
よって、亡くなられた方が転籍や婚姻を繰り返している場合等は、多くの戸籍の取得が必要になります。
（３）相続人の現在戸籍を取得
上記（２）の結果、相続人が判明したら各相続人の最新の戸籍（現在戸籍）を取得します。
なお、代襲相続や数次相続となっている場合は、その関係を証明する戸籍も必要となりますのでご注意ください。
例えば、相続人が亡くなり、その子が相続人となる場合（代襲相続）は、亡くなった相続人の出生から死亡までの連続した戸籍も必要となります。
相続人の決定については、別の記事にも記載していますのでご確認ください。
４．請求方法
戸籍を請求できる場所は本籍地がある市町村です。
また、請求は窓口または郵送でも可能です。
請求する際には以下の書類が必要です。
（１）請求用紙
各市町村のホームページに載っていることが多いです。
（２）手数料
郵送で請求する際には、定額小為替で手数料を支払いますので事前に準備が必要です。
（３）本人確認書類
兄弟姉妹の相続の場合、本人確認書類とは別に亡くなられた方と請求者（相続人）との関係について、説明や証明書類（もしくは委任状）を求められることがあります。
これは、本来、戸籍を請求出来る範囲が、配偶者、直系尊属及び直系卑属（両親・祖父母・子・孫等）に限られており、正当な理由がなければ兄弟姉妹の戸籍の請求を認めていないからです。
（４）返信用封筒（郵送の場合）
請求した戸籍を返送してもらう為に予め用意しておきます。
なお、亡くなられた方の戸籍を取得する際には、「被相続人の出生から死亡までの戸籍の交付をお願いします」等と伝えると良いでしょう（郵送の場合はその旨を付箋に書き請求用紙に貼付けて多めの定額小為替を同封します）。
そうすることで、同じ市町村に亡くなられた方の戸籍が複数ある場合、まとめて入手することが出来ます。
また、最後の本籍地が不明の場合は、亡くなられた方の除票（省略のないもの）を取得することで本籍地の確認ができます。
最後に
このように、亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍を取得するには、どうしても時間と手間が掛かってしまいます。
特に北海道在住の方は、過去に本籍地が道外であったケースが多いため、時間を要する傾向があります。
また、取得した戸籍の内容をきちんと把握しないと、相続人を見落とす可能性もあり注意が必要です。
FUJITA札幌相続センターでは相続手続きの代行をしております。相続手続きはご自身で行うことも出来ますが、お困りの際はお気軽にお問合わせください。
