口座の名義人が亡くなると、金融機関ではその事実を知った時点で口座を凍結させて入出金など取引ができない状態にしてしまいます。それは一部の相続人によって勝手に預金が引き出されたりして金融機関が相続トラブルに巻き込まれるのを避けるためです。
相続人にとっては葬儀費用の為にまとまったお金をその口座から引き出したいのにできない、という不便さを感じるかもしれません。しかし、いかなる理由においても一旦凍結された口座は、口座名義人の戸籍謄本や相続人全員の印鑑証明書、遺産分割協議書など定められた書類をもって手続きを踏まなければ使用できません。
そもそも金融機関は、名義人が亡くなった事実をどのように知り得るのでしょうか。
基本的には相続人や親類が申し出ることで把握しますが、金融機関が新聞のお悔やみ欄から情報を得て凍結させることもあります。
万一、口座名義人が亡くなっていることを金融機関が把握していないために口座が凍結されていなかったとしても、本人が亡くなられている以上、本来はどなたも代理人とはなり得ません。トラブル防止の為にもきちんと手続きを行った上で引き出すようにしましょう。
執筆者:荒川敦子