お客様より遺産分割協議をやり直したいとご相談を受けることがあります。
そもそも一度成立した遺産分割協議をやり直しても良いのか、気になる方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は遺産分割協議のやり直しについて記載します。
遺産分割協議のやり直しはできるのか
遺産分割協議は、相続人間で故人の遺産をどのように分割するのか自由に話し合い決定するもので、相続人全員の合意があれば、基本的には一度成立した遺産分割協議をやり直すことができます。
ただし、調停・審判で成立した遺産分割協議はやり直しができない他、遺産分割協議自体に無効及び取り消しとなる原因があった場合は、遺産分割協議をやり直すのではなく、最初の遺産分割協議をなかったものとして、新しく遺産分割協議を行うことになります。
遺産分割協議をやり直すリスク
遺産分割協議自体には期限がありませんが、相続税申告がある場合は相続発生後10ヶ月以内に遺産分割協議を行う必要があることや、相続発生後10年を経過すると、特別受益や寄与分を他の相続人に主張できなくなることがあります。
また、遺産分割協議をやり直した場合、遺産は分割によって取得したのではなく新たに財産の移転があった、つまり贈与されたとみなされ、追加で税金(贈与税・所得税・登録免許税・不動産取得税)が発生する場合もあります。
以上のように、遺産分割協議のやり直しにはリスクが発生しますので注意が必要です。
なお、相続した財産を第三者にすでに譲渡していた場合は、第三者の権利が保護されるため、遺産分割協議をやり直しても譲渡された財産は戻りません。
遺産分割協議後に新たに遺産が出てきたときは?
遺産の一部が抜けていた遺産分割協議も原則として有効です。
新たに発見された財産については、その財産についてのみ遺産分割協議を行えば問題ありませんが、相続人全員の合意があれば、全部の遺産分割協議をやり直すことも可能です。
しかしながら、このような事態を防ぐために、最初の遺産分割協議で今後新たに財産が発見された場合にどうするのかというところまで検討しておくと良いでしょう。
遺産分割協議をやり直さないように
遺産分割協議をやり直すことによりリスクが発生することもありますし、時間や手間は掛かってしまいますので、遺産分割協議をやり直す際にはよく考えて行いましょう。
また、遺産分割協議をやり直すことがないように、事前に相続人間でよく話し合うことが大切です。
相続開始後に遺産分割協議が難航しそうだとお考えの場合には、生前に専門家に相談することも検討してください。
遺産分割については、こちらの記事もご確認ください。